この記事の結論
教育訓練給付金の対象となる講座は、厚生労働大臣の指定を受けた講座です。給付金を受けるには、その講座の指定期間内に受講を開始する必要があります。指定は学校単位ではなく講座単位で行われ、期間は原則3年です。なお、指定講座を受講するだけで給付を受けられるわけではなく、雇用保険の加入期間など本人の要件も満たす必要があります。厚生労働省の検索システムでは、講座の区分(専門実践・特定一般・一般)と指定期間を確認できます。ただし検索システムには指定開始前の講座も載っているため、検索で見つかっただけでは対象とは言えません。確認すべきは「講座に表示される給付区分のラベル」と「指定期間と受講開始日の関係」の2つです。
専門職大学院などへの進学で教育訓練給付金を使いたいとき、最初にすべきことは、進学先の課程が対象講座かどうかの確認です。本記事では、厚生労働省の検索システムの操作手順を画面とともに説明し、見落としやすい確認ポイントを整理します。
1. 対象かどうかは「講座単位」で決まる
教育訓練給付金の対象講座は、厚生労働大臣の指定を受けている講座で、かつその講座の指定期間内に受講を開始する場合に限られます。対象講座には「一般教育訓練」「特定一般教育訓練」「専門実践教育訓練」の3種類があります(愛知労働局 ハローワーク「教育訓練給付制度とは」)。
給付率は区分によって大きく異なります。専門実践教育訓練は最大で受講費用の80%(年間上限64万円)、特定一般教育訓練は最大50%(上限25万円)、一般教育訓練は20%(上限10万円)です(厚生労働省「教育訓練給付金のご案内」)。専門実践教育訓練の80%は最大額で、修了後の資格取得や賃金の上昇などの条件を満たした場合の給付率です(厚生労働省「専門実践教育訓練の『教育訓練給付金』のご案内」)。
講座の指定は年2回行われ、指定期間は4月1日または10月1日から原則3年間です(厚生労働省「一般教育訓練講座の申請手続について」)。令和8年10月1日時点で、専門実践教育訓練の対象講座は3,485講座(厚生労働省「専門実践教育訓練の指定講座を公表しました(令和8年10月1日付け指定)」)、特定一般教育訓練の対象講座は1,532講座です(厚生労働省「特定一般教育訓練の指定講座を公表しました(令和8年10月1日付け指定)」)。
同じ大学院の中でも、講座によって区分が違ったり、指定がなかったりします。確認は必ず講座単位で行います。
2. 検索システムで探す手順
対象講座は、厚生労働省の「教育訓練給付金 厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム」で調べられます。以下の画面は2026年10月14日時点のものです。
手順1:「講座・スクールを探す」を開く
トップページ中央の「講座・スクールを探す」ボタン、または上部メニューの「講座・スクールを探す」から、検索条件の入力画面に進みます。
手順2:講座の分類を選ぶ
検索条件の入力画面では、講座の分類ごとにチェックボックスで条件を選びます。専門職大学院の課程を探す場合は、「専門職大学院」の欄から分野を選びます。分野は、ビジネス・MOT、会計、教職大学院、公共政策、公衆衛生、知的財産、法科大学院・司法試験合格、臨床心理、その他に分かれています。

分類にはこのほか、大学の「正規課程」「特別の課程」の分野別の区分や、「修士・博士」の区分もあります(厚生労働省 job tag「教育訓練給付対象講座の検索」)。修士課程を探す場合は、これらの区分も確認してください。
実施方法として、通学(昼間)、通学(夜間)、通学(土日)、通信、eラーニングを選べます(厚生労働省 job tag「教育訓練給付対象講座の検索」)。働きながら通うことを前提にするなら、夜間や土日を選んでおくと候補を絞りやすくなります。
進学先の候補が決まっている場合は、学校名や分野・資格名の一部を入力して探すフリーワード検索も使えます(厚生労働省「教育訓練給付金 厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム」)。
手順3:検索結果を制度で絞り込む
検索結果の画面では、上部に「現在の検索条件」が表示され、さらに訓練期間と訓練経費の範囲、制度(専門実践教育訓練・特定一般教育訓練・一般教育訓練)で絞り込めます。

給付率の高い専門実践教育訓練の対象だけを見たい場合は、「制度で絞り込み」で専門実践教育訓練にチェックを入れて「絞り込む」を押します。
手順4:講座のラベルを確認する
検索結果は、スクール(実施機関)ごとに表示されます。ここで注意したいのが、スクールに付いているラベルと、講座に付いているラベルは別だという点です。

図3の例では、スクール名の上に「専門」「特定一般」「一般」の3つのラベルが付いていますが、その下の講座には「専門」のラベルだけが付いています。スクールのラベルは、そのスクールに各区分の講座があることを示すもので、目当ての講座がどの区分かは、講座の行のラベルで確認する必要があります。
一覧では、講座名のほか、実施方法、訓練期間、訓練経費を比べられます。
手順5:詳細画面で指定期間を確認する
講座の行の「詳細を見る」を押すと、講座の詳細画面が開きます。

詳細画面の基本情報には、スクール名、実施者、指定番号、指定期間、講座名称、講座内容、実施方法、訓練期間、訓練時間などが表示されます。最も重要なのが指定期間です。図4の講座では「令和6年4月1日〜令和9年3月31日」と表示されています。
指定番号は、都道府県番号、教育訓練施設番号、指定年、指定の前期・後期の別、講座番号、チェックデジットを組み合わせた15桁の番号です(厚生労働省「業務取扱要領」)。ハローワークへの照会時に使用できるため、講座名とあわせて控えておくと便利です。
詳細画面の右上には「訓練前キャリアコンサルティングの申し込み」のボタンもあり、外部サイトに移動して申し込みに進めます。
3. 検索結果で必ず確認したい「指定期間」と「受講開始日」
指定開始前の講座も載っている
検索システムには、指定期間中の講座だけでなく、指定開始前の講座も掲載されています。各講座の指定期間は、「詳細を見る」のページの「指定期間」の欄で確認するよう案内されています(厚生労働省「教育訓練給付金 厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム」)。検索で見つかったことだけで、対象講座と判断しないようにしてください。
判定の基準は「受講開始日」
教育訓練給付金の対象となるには、受講開始日が講座の指定期間内にあることが必要です。指定期間が始まる前や、指定期間が終了した後に受講を開始した場合は、対象になりません。一方、指定期間内に受講を開始していれば、修了日が指定期間の終了後になっても、指定期間に関する要件は満たします(厚生労働省「教育訓練給付金の講座指定等に関するQ&A」)。
受講開始日とは、通学制の場合は教育訓練の所定の開講日で、必ずしも本人の出席1日目とはならないとされています(厚生労働省「専門実践教育訓練の『教育訓練給付金』のご案内」)。出願日・合格日・入学金の支払日とは異なります。
図4の講座であれば、開講日が令和9年3月31日までであれば指定期間内です。大学院の入学時期が指定期間の終わりに近い場合は、入学年度の開講日が指定期間に含まれるかを確認してください。
指定は途中で終わることもある
指定期間が過ぎても再指定の手続きが行われなければ、指定は期間の満了で終了します。また、指定期間中でも、指定基準に合わなくなった場合などには指定が取り消され、期間の途中で終わることがあります(厚生労働省「教育訓練給付金の講座指定等に関するQ&A」)。取り消された講座は、取消日以降に受講を開始した人は支給の対象になりません(厚生労働省「教育訓練給付金 厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム」)。
4. 大学院の公式サイトで確認するときの注意
大学院の募集要項やサイトに「教育訓練給付金の対象」と書かれている場合も、どの研究科・専攻・課程が指定講座に該当するかを確認してください。
厚生労働省の施設向けの手引では、指定の対象は学校ではなく各講座であるため、「厚生労働大臣指定校」のように学校自体が指定を受けているかのような表示をしてはならないとしています。広告などでは「専門実践教育訓練給付金制度厚生労働大臣指定講座」のような正確な表現を使うことが示されています(厚生労働省「教育訓練給付金制度(一般教育訓練)関係手引(教育訓練施設用)」)(厚生労働省「教育訓練給付金制度(専門実践教育訓練)関係手引(教育訓練施設用)」)。
進学予定の課程が指定講座に該当するかは、検索システムで講座名と指定番号を照合して確かめてください。
5. 対象講座か判断できない場合の確認方法
ハローワークの支給要件照会では、指定番号や教育訓練施設の名称、講座名をもとに、その講座が受講開始(予定)日の時点で厚生労働大臣の指定を受けているかを照会できます(ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金支給要件照会」)。あわせて、本人の受給資格の有無も確認できます。照会票は住所を管轄するハローワークに、来所・電子申請・郵送のいずれかで提出し、電話での照会は受け付けていません(厚生労働省「専門実践教育訓練の『教育訓練給付金』のご案内」)。
厚生労働省は、新たに指定した専門実践教育訓練と特定一般教育訓練の講座を報道発表で公表しています。たとえば専門実践教育訓練では、令和8年4月1日付けで303講座(厚生労働省「専門実践教育訓練の指定講座を公表しました(令和8年4月1日付け指定)」)、令和8年10月1日付けで138講座が新たに指定されました(厚生労働省「専門実践教育訓練の指定講座を公表しました(令和8年10月1日付け指定)」)。
6. 対象講座を見つけた後に必要な手続き
対象講座が見つかっても、それだけで給付を受けられるわけではありません。専門実践教育訓練の場合は、訓練前キャリアコンサルティングを受けてジョブ・カードの交付を受け、受講開始日の2週間前までに、住所を管轄するハローワークで受給資格確認を行う必要があります(厚生労働省「専門実践教育訓練の『教育訓練給付金』のご案内」)。
専門実践教育訓練給付金と特定一般教育訓練給付金の受給資格確認の期限は、2024年4月1日から「受講開始日の1か月前まで」が「受講開始日の原則2週間前まで」に緩和されました(厚生労働省「2024年4月1日から教育訓練の支給申請がしやすくなります!」)。インターネット上の案内には、改正前の「1か月前」の記載が残っているページもあるため、期限は厚生労働省の最新の資料で確認してください。
給付率の段階、支給のタイミング、受給要件は「専門実践教育訓練給付金の全体像」で解説しています。
7. まとめ|進学前に確認したい3つのポイント
- 講座のラベル:スクールではなく、講座の行に付いているラベル(専門・特定一般・一般)で区分を確認する
- 指定期間と受講開始日:入学年度の開講日が、詳細画面の指定期間に含まれるかを確認する
- 学校ではなく講座:大学院の案内に「給付金の対象」とあっても、自分が進学する課程が指定講座かを確かめる
検索結果だけでは判断できない場合は、ハローワークの支給要件照会で、受講開始予定日の時点での講座の指定と、自分の受給資格の両方を照会できます。